NEDの現場から
考えるノート
著者:時田 隆佑(株式会社トキタ企画 代表取締役社長)
当時プロジェクトマネージャーを務めていた、『北本駅西口駅前広場改修プロジェクト(通称:顔プロ)』のことを掲載いただいた建築雑誌『新建築(2013/10)』に掲載された文章です。もう干支が一回りしてしまったとは……。
北本駅西口駅前広場の改修事業に、設計者と行政、市民を繋ぐパイプ役として関わるようになって5年になる。この間、大学や設計者との調整をはじめ、地元住民への説明会、ワークショップや実証社会実験の企画運営、議会対応、現場管理などプロジェクトに関わるあらゆる業務に北本市職員(任期付職員)兼プロジェクトマネージャーとして携わってきた。
近年の公共事業における計画策定段階への市民参画は、行政として避けて通ることのできない手続きである。きわめて公共性の高い駅前広場の改修にあたって、その手順を丁寧に進めることがこのプロジェクトの出発点であった。しかしながら、行政としてそのノウハウに不安を抱える北本において、事業課と呼ばれる関係各課(都市計画課、道路課、政策推進課、産業観光課、生涯学習課)との調整が私のまずやるべき仕事となる。それぞれの課の役割を簡単に説明すると、政策推進課で上位計画との整合性を図り国庫交付金等の補助金を獲得、都市計画課で事業のフレームワークを行い、道路課で実施及び管理を行うハード整備の流れと、産業観光課で中心市街地活性化や観光推進を、生涯学習課で文化促進を行うソフト整備の流れがある。北本市に在籍していた4年間で、道路課(半年)、都市計画課(1年)、道路課(2年)、産業観光課(半年)と席を異動しつつ、それぞれの役割を有機的に繋げることに努めてきた。その一方で多くの市民に出会うためのフレームデザインを同時に行い、「つかう会議」として始めたオープンミーティングは、「広場を育てる会議」「まちのリズムを育てる会議」とプロジェクトの進捗により名称を変え、その拠点となる「まちづくりキャラバン」を中心市街地の空き店舗を活用して整備した。これらを通した出会いは、今までにないまちづくりのネットワークを形成し、私を含め世代や活動の垣根を超えた人材育成の場となっていった。
このように、段階的に計画策定に時間をかけておこなってきたことで、まちづくりに関わる人びとの時間軸とプロジェクトを連動させることが出来たと思っている。しかしながら、単年度毎に事業化を図る行政手続きと、市民の視点にたったまちづくりの時間軸の差を縮める手法については今後も考えていかなければならない。
現在私が所属しているNPO法人北本市観光協会は、約20年前に市民による観光まちづくりを推進するため市民団体として活動をはじめた。これまで、地域資源を活かした観光事業と人材育成などの活動を行ってきたが、他の市民活動との連携をはかるプラットフォームとして昨年末にNPO法人格を取得し、地元の方がいちばんに楽しめるデイリーツーリズムというべき観光のあり方を模索しつつ、プロジェクトで語られてきた夢の実現を目指し活動を続けている。まちづくりに終わりはない。
(北本市観光協会 観光情報発信館館長 時田隆佑)*
*2013年当時

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